治療経緯
左右上の奥歯が重度の歯周病にて抜歯となり、その後インプラント治療を希望されました。しかし前医では歯周病の進行が著明であったため、アゴの骨が非常に薄くインプラントを入れることが難しいとのことでした。そこで今回、専門的な治療でなんとか同部インプラントはできないかと患者様からご相談を受けました。
初診時のお口の中の写真とレントゲン写真
左右上の奥歯の欠損部は、歯ぐきが凹んでおり、やや硬い歯ぐきも少ない状態でした。レントゲンを撮ると、鼻の骨の横にある空洞と歯を抜いた部分のアゴの骨のフチが非常に近く、入れたいインプラントの長さよりもアゴの骨の高さが明らかに不足し、歯を抜いた部分の骨が非常に薄い状態でした。
患者様の『噛みにくい入れ歯は避けたい、なんとかインプラントにしたい。』という希望にお応えするべく、専門的な治療も含むインプラント治療を行うことしました。
治療後のお口の写真とレントゲン
今回入れたいインプラントの長さに左右どちらもアゴの骨の高さが大きく不足していたため、鼻の骨の横にある空洞側に、人工骨を用いてアゴの骨を造り(サイナスリフト)、そこにインプラント治療を行いました。また、前歯にあるような硬い歯ぐきもやや少なかったため、せっかく入れたインプラントが歯周病になりにくいように、硬い歯ぐきも形成(APF・FGG)しました。
いくつかの特殊な外科手術を伴う治療でしたが、治療後2年が経ち、3ヶ月に1回の定期検診で特に追加の治療もなく、良好に噛めていらっしゃいます。
治療前・治療後の比較写真とレントゲン
入れたいインプラントの長さが不足していた分の骨も形成され、歯を抜いた部分にインプラントが入り、硬い歯ぐきも形成することで、歯ぐきの凹みなどが改善しました。レントゲンでは明らかにインプラントを支える骨が、鼻の骨の横にある空洞側にでき、骨が大きく盛り上がっているのがわかります。患者様は、入れ歯を回避でき、難しいと言われていたインプラント治療を無事受けることができ満足されていました。
治療の詳細
患者様の年齢・性別 | 56歳・男性 |
主訴 | 前医でインプラント治療は難しいと言われたが、インプラントにしたい |
治療内容 | 歯周治療(歯肉弁根尖側移動術:APF, 遊離歯肉移植術:FGG) 咬み合わせ治療(サイナスリフト, インプラント) |
費用 | 約180万円(保険治療費は含まれない) |
期間 | 約1年 |
リスク・副作用 | 治療後の定期検診はしっかり通っていただかないと、インプラント周囲に炎症が 生じ歯周病になるなど、様々なトラブルが起る可能性があります |