治療経緯
大学病院にて歯周病に対する外科手術等を受けたが、歯の揺れなどの病状が改善せず進行するばかりで、他歯科医院にて相談したところ治療が難しいと言われ、専門的な治療で病状が改善しないかとご相談を受けました。
初診時のお口の中の写真とレントゲン写真
歯ぐきは腫れ、歯の汚れや歯の根元で黒くなった歯石も多く認められました。また、揺れている歯が多数あり、レントゲンを撮ると“30代”であるにも関わらず、歯を支えている骨の吸収が明らかでした。
病状などから、かつて『侵襲性歯周炎』と呼ばれた10代から30代と若い人に起こる稀な歯周病であることが考えられました。患者様は『なすすべが無く途方に暮れている。どうにか病気の進行を止められないか。』と自費治療も含めた歯周病の治療を希望され、治療を行うこととなりました。
治療後のお口の写真とレントゲン
患者様とご相談しつつ、自費でしかできない歯周病治療は自費治療、その他は保険治療と分けて、“全顎的”な歯周病治療を行いました。また、患者様はタバコを吸われており、歯周病治療の効果の低下や病状のさらなる進行が考えられたため、“かかりつけ内科医の協力”のもと、禁煙治療も行うこととなりました。
禁煙治療と外科手術を伴う治療でしたが、治療後5年が経ち、1〜2ヶ月に1回の定期検診で、病状の進行もなく、良好に噛めていらっしゃいます。
治療前・治療後の比較レントゲン
歯周病で下がってしまった歯ぐきを元に戻すことは難しいですが、歯ぐきの色は赤黒い色から健康なピンク色に戻り、歯ぐきの腫れが引いて引き締まっているのが分かります。レントゲンでは、歯の根元についていた歯石が無くなり、根の表面の凸凹が無くなり、根の表面がツルツルになっているのが分かります。また、歯を支える“骨が一部再生している”のもわかります。
歯ぐきの炎症を除去してもなお揺れている歯は“揺れる歯を固定する治療”を行うことで病状が改善しました。患者様は病状が安定したことに満足されていました。
治療の詳細
患者様の年齢・性別 | 34歳・男性 |
主訴 | 他院にて治療が難しいと言われたが何とかならないか |
治療内容 | 歯周外科治療(歯肉剥離搔爬術,一部歯周組織再生療法) 咬み合せ治療(詰め物や被せ物を用いた歯の固定) |
費用 | 約20万円(保険治療費は含まれない) |
期間 | 約2年 |
リスク・副作用 | 治療後、歯ぐきが引き締まることにより、通常の方より知覚過敏が生じやすい また、定期検診を通っていただかないと、再発や病状の悪化のリスクが高く、 重篤になることが予想される |
患者様は、過去に歯周外科治療も含め様々な歯周病治療を受けられていましたが、それに反して歯の揺れなど病状が悪化していき、藁にもすがる思いで来院されました。
禁煙治療や外科的な治療を伴いましたが、歯周病の専門的な視点から治療をこころみることで、揺れていた歯の病状が改善し、今では歯の揺れを気にすることがなくなり、禁煙できたことや病状の進行を抑えられたことを喜ばれ、患者様の『健康であることの“幸せ”』に貢献することができました。