治療経緯
他の歯科医院にて定期的な検診を受けておられたようですが、歯の揺れなど症状が悪化し、相談したところ歯を抜くしかないと言われ、専門的な治療で抜歯しなくて済まないかと患者様のご両親からご相談を受けました。
初診時のお口の中の写真とレントゲン写真
歯ぐきの腫れはあまりなく、歯の汚れや歯石もあまり認められませんでした。しかし、奥歯を中心に揺れている歯が多数あり、レントゲンを撮ると“20代”であるにも関わらず、歯を支えている骨の吸収が明らかでした。
歯周病関連細菌検査等を行うと、かつて『侵襲性歯周炎』と呼ばれた10代から30代と若い人に起こる稀な歯周病であることが分かりました。この病気は急速に進行するため、早期発見・早期治療が原則です。
患者様は『若い内から自分の歯を失いたくない。詰め物や被せ物で歯の色が変わるのは悲しい。』と自費治療も含めた歯周病の治療を希望され、治療を行うこととなりました。
治療後のお口の写真とレントゲン
患者様と患者様のご両親とご相談しつつ、自費でしかできない歯周病治療は自費治療、その他は保険治療と分けて、“全顎的”な歯周病治療を行いました。外科手術を伴う治療でしたが、治療後7年が経ち、3ヶ月に1回の定期検診で特に追加の治療もなく、抜歯することもなく、良好に噛めていらっしゃいます。
治療前・治療後の比較レントゲン
元々自分のお口の中への意識が高く、自分でのお口のケアもしっかりされていたので、あまりお口の写真では変化がないように見えます。しかし、レントゲンでは明かに歯を支える“骨が再生している”のがわかります。
当初計画に入れていた“揺れる歯を固定するために歯を削って詰め物で繋ぐ治療”をしなくても、歯周病治療のみで病状が改善しました。患者様は、歯の揺れがなくなり、一本も歯を抜かなくて済んだことに感謝しているとおっしゃられていました。
治療の詳細
患者様の年齢・性別 | 23歳・女性 |
主訴 | 他院にて歯が揺れているから、抜歯と言われた |
治療内容 | 歯周外科治療(歯周組織再生療法) |
費用 | 約80万円(保険治療費は含まれない) |
期間 | 約1年 |
リスク・副作用 | 治療後の定期検診を通っていただかないと、通常の方より再発や病状の悪化の リスクが高く、重篤になることが予想される |
患者様は、歯科定期検診に通われていたものの、歯の揺れが悪化していき、次第に噛みにくくなり、歯を抜くしかないと言われたことに不安を感じ、藁にもすがる思いで来院されました。
外科的な治療を伴いましたが、歯周病の専門的な視点から治療をこころみることで、抜歯をしなければならなかった歯の病状が改善し、今では歯の揺れを気にすることがなくなり、すべて自分の歯であることに喜ばれ、患者様の『自分の歯が残せたことの“幸せ”』に貢献することができました。